大分時間を置いてしまいましたが、前回(http://sunny-design.net/2007/09/webken3.shtml)に引き続き、2007/9/20(木)に参加しました「Web研(第3回)」のレポートをば。
前回は第一部の内容を書きましたが、今回は第二部の対談の内容を…と言っても録音などしているわけではないので、私の独断で気になったポイントをレポートしたいと思います。
第二部でも引き続きビジネス・アーキテクツ(以降bAとさせていただきます)の佐藤伸哉氏と、ネットイヤーグループの坂本貴史氏がゲストで、ワークスコーポレーションの岡本氏がモデレーターとなって色々質問してくださいました。
第二部はタイトルも本題の『ユーザーエクスペリエンスを最適化するためのプロジェクトデザイン』として、それを軸として話が進められました。
まず最初に、任天堂の宮本茂氏の言葉を引用されて、「メンバーの言う『良い』アイデアを拾って全体を前進させるのがディレクターである」という言葉から開始されたディスカッション。全体を通してディレクション(ディレクター)に関するお話をお聞きしました。
■海外だと各職は分業なのか?
【佐藤氏:以降[佐]とさせていただきます】
国民性的にマニュアルがないと働けない
→ 結果分業化されていく
→ 職種がステップアップすることでスキルアップしていく
■グラフィックデザインとWebデザインの差とは?
【坂本氏:以降[坂]とさせていただきます】
グラフィックデザインというのはほぼ確立されてしまっているのに対し、Webデザインは確立されていない=ブレやすいと感じている
■そもそもWebディレクターとは何をするのか?
└ bA、ネットイヤーグループともに、ディレクター職は存在しない。何故?
【佐】ディレクターとは、様々な経験を元にする職種である
→ そんな存在は無理だろうという前提でbAには存在していない
※ bAにはプロデューサーも居なくて、代わりにプロジェクトマネージャーが居るそう
【坂】制作ディレクター≠Webディレクターではないだろう
■ディレクターの原則論(本などで紹介されるもの)はどこまで通用するのか?
【佐】指針で本などを読むかも → 実務では反することもしばしば!!
色々な事案を「思い切り」で切り捨てる事が必要になってくる=経験を伴うセンスである
└ 未経験者は上の人から学んでいく
【坂】ノウハウ<はずれた事例:学校では教えてくれないが重要なこと
いかに型を破っていけるのかということが重要である
【佐】型を破るという対応能力さえあればbAでは他業種からプロジェクトマネージャーになった人もいる
■経験→スキル化=成功(お二人の場合)
【坂】デザインのスキル→情報設計で生かしている
【佐】工業デザイン(ATMなどの作成ノウハウ)→CD-ROMのUI→ゲームUI→Web:構造設計のスキル
■何か公開できる失敗経験→スキルアップした経験は?
【佐】口頭約束は大概即OKが出る→大概内容にズレが生じる
一方、紙約束はズレが生じない代わりになかなかGOが出ない(ズレが無いようによく話し合う)
【坂】失敗をしたら全社で内容をシェアする→全体のスキルアップにつながる
■古くからCSSやユーザーエクスペリエンス(UX)対応をしているbA、失敗などの質は変わったのか?
【佐】失敗の可能性はクライアントと(理解してもらうまで話し合い)共有を行うようにしている
■UXの質自体は変わっているのか?
【坂】予算から設計していく→未来の技術を見越しているが、最近はクライアントの要望もアップしている
【佐】「サイトのイメージがどうであるか」の要望(テーマ)の変化が起きた
■UXの質が変わって対応は変わっているのか?
【佐】新しい技術を新規プロジェクトで使うようになった
【坂】プロジェクトとは別の目標を個々に持たせる、ということをしている
└ 例えば、納期の目標や、技術向上といった目標
■大規模案件ならではの経験は?
【佐】面白いが、とても難しい─若い人、経験の少ない人でもメンバーに加える
└ ※ 上に立つ人々がすごく大変になる
【佐・坂 両氏】
× スキル習得して経験
○ 経験してのスキル習得
【坂】人生の経験もスキルである
■失敗の許容はどのくらいであるか?
【佐】フィールドレベルからスキルチェックをする
※ bAでは得意を伸ばす(本人の意思があれば不得意も充てる)
└ 過去には間違ったスキルの把握&アサインが有った→100ものレベル設定で再採点を行っている
【坂】教育制度(トレーナー制度)を設けている
ネットイヤーグループではbAとは逆に職種設定を元にメンバーのアサインを行う(肩書きだけの仕事は最低限にやれ、という意味)
■bA、ネットイヤーグループのような大企業ではなく、他企業でも行える事のアドバイス
【坂】ハッキリとした経験値としての上下関係を作って、個々に指標を掲げるようにするべきである
└ それが無理であれば、自己の経験を思い返して復習するという手段もある
【佐】なるべく経験の上下関係をつくって「あいまい」を明確化する(必ずしも明文化する必要はない)
└ 地雷が減るだろう
■Webの未来はどうなるだろう?
【佐】かつて固定電話が携帯電話への変化を通って「普通」になったように、Webも「普通」なものになるのではないか?→プロジェクトも一般化していくのでは?
【坂】作業の細分化などが起こって、二極化するのではないか?
■上記を踏まえて、Web業界が変化したらお二人は?
【坂】出来上がってしまったらWebではなくてもっと未熟なプロジェクトへ行くかもしれない
【佐】工業デザイナーに戻るかも
※ お二人ともやりたいことのできるフィールドへ移るのではないかとおっしゃっていました。
以上。
今回は「ディレクション(ディレクター)」を軸にしたお話がされていましたが、上記は何もディレクターのみに関する話ではないように感じました。
前回含め、お二人とも経験未熟者への「教育」や「目標設定」がプロジェクト成功への鍵であり、また、個人のスキルアップの鍵で有ると、全編通しておっしゃっていたのが印象的でした。
実際、いくら本で学んで「理解」していることでも実務レベルでそれを反映していくには難しいこともしばしばあります。
それは経験値の少ない人が気付くには難しいことだったりするので、そこに少しでも経験値の高い人が相談役として存在すれば個々のスキルアップに繋がるのは確かです。
今回はこの内容とは別ではありますが、bAに関しては以前「Web標準の日々」で森田雄氏もWebディレクション部門で講演をされていましたが、同社内でブレのない意見の一致がなされていることが(当たり前ですが)驚きました。
いえ、もちろんそれは本当にごくごく当たり前の事なのですが(弊社は別として!)意外に意識共有のなされない「大手」も多い中、当たり前にできていることの大事さも同時に実感したセミナーでした。